· 

【メディア研究 No.10】水産庁が「さかなの日」を制定

この「メディア研究」シリーズは、テレビ・新聞をはじめとするマスメディアがどのような視点で世の中のさまざまな社会問題や社会現象を報道しているのか探ることを目的としています。

主としてテレビメディアのニュース報道や情報番組に注目して、放送内容の概要を紹介したうえで、テレビに取材されやすいポイントなどを考察します。

 

なお、【メディア研究 No.5】以前の記事は、Facebook に掲載中です。

 

放送日:2022年10月28日(金)17:30頃

放送局:日本テレビ

番組名:news every. (ニュース)

放送内容:魚の消費拡大つなげる狙い きょう「さかなの日」を制定

10月28日、魚の消費拡大につなげようと「さかなの日」が制定された。毎月3日から7日を「さ」ん「か」ら「な」な、ということで「さかなの日」にすると発表。

日本人が魚より肉を食べる傾向にある中、魚の消費拡大につなげる狙いがあるという。

日本人の魚の消費量はピークだった2001年の40.2kgから年々減少傾向にあり、2020年には23.4kgまで減少。

肉類の消費量は増加傾向で、2011年度に魚を逆転し、その後も右肩上がりを続けている。

まず身内からその傾向を変えるべく、農林水産省内の食堂では魚を使ったメニューをオススメとして提供。しかし、肉を食べる人は依然多く、取り組みを続けていきたいとしている。

福岡市では、規格外のサイズや傷物のため、市場に出しても売れないような未利用魚を加工し、商品にする取り組みも行っている。

🟩 考察、気づき(テレビに取材されやすいポイントなど)

 

● 冒頭、千葉県・勝浦漁港でカツオやキンメダイが水揚げされる映像から入り、魚介類と肉類の年間消費量の変化、農林水産省内の「あふ食堂」のさかなメニューや職員の食事の現状、魚のフードロス削減を目指して未利用魚の商品化に取り組む福岡市の会社など、さまざまな視点から水産資源の問題にスポットを当てている。

 

● これだけ多くの場所を取材するには、「さかなの日」発表以前からスケジュールを組んでいないとできない。

ネットで検索してみると「さかなの日」に至るまでの計画は、昨年9月の「さかなの日推進委員会」の設立からスタートしていたことがわかる。今年7月には「さかなの日」の制定についてプロジェクトの概要が固まっている。

 

● 水産庁からは「魚介類と肉類の年間消費量の変化」をはじめ、水産物に関する様々なデータ資料が提供されているので、メディア側でいろいろな角度から番組の企画を立てやすいと思われる。

 

● 近年、各業界でフードロス問題への取り組みが進んでいるが、魚のフードロス削減のため未利用魚を商品化している会社を紹介、水産加工業界のフードロス削減の一端を取り上げている。

 

● 「さかなの日」を発表した農林水産省内の食堂でも、魚より肉を食べる傾向があるような報道内容で、皮肉っぽくも実態を裏付けている。

 

● そもそも「さかなの日」はすでに2017年に、産経新聞社等で構成される「さかなジャパンプロジェクト推進協議会」が3月7日(語呂合わせ)に制定している。これとは別に「まぐろの日」(10月10日)というのもある。

水産庁は、これらの記念日は各業界独自で実施しているもののため、新たに各方面を包括した「さかなの日」を2022年度に設定するとしている。

🟩 この番組でのキーワード

 

さかなの日 農林水産省 水産庁 あふ食堂 未利用魚 ベンナーズ